2014年から毎年『東京レインボープライド(TRP)』に協賛し、5年目の今年もトップスポンサーとなるチェリオコーポレーション。
この5年間で、社内はどのように変化してきたのだろうか。
TRPやLGBTに関する2017年の取り組みをご紹介するとともに、経営企画、リクルーティング、それぞれの立場から、社内の意識変化、働きやすい会社づくりについてお二人に語ってもらった。

 

株式会社チェリオコーポレーション 経営企画室 室長 座間隆史 さん
株式会社チェリオコーポレーション 総務部 総務課(リクルーティング担当) 柿島なつみ さん

 

ーーお二人とも、LGBT当事者の友人がいると聞きました。

柿島 トランスジェンダーの友達がいます。これまであまり意識したことはなかったんですが、会社がTRPに協賛したこともあり、少し深く話を聞いてみると、実は就職や仕事の場で困っていることがあると知りました。だからといって、その友人との付き合いが変わるわけではないんですが、いろいろな気づきがありました。

座間 私にはトランスジェンダーやバイセクシュアル、ゲイの友達もいます。個人と個人のつながりの中で、特に偏見はなく、付き合っていました。TRPをきっかけに、当事者の方々の苦労や悩みを聞く機会を得て、実は私の知らないところで友人たちも苦しんでいたのではないかと思うようになりました。それなら、当事者の方々が住みやすい社会を創るために、自分に何ができるのだろうか、飲料メーカーとしてチェリオに何ができるのだろうか。そのように考えはじめると、協賛していることをとても誇りに思えました。

 

ーーTRPに協賛して今年で5年目になるわけですが、この間で社内にどんな変化がありましたか?

座間 まず一つは、TRPを通じて様々な人たちと出会い、新たな関係性が広がり、その中で新たにチャレンジをする機会を得られたことです。具体的には、昨年のTRPで15,000本を配布したスペシャルパッケージの《ライフガード》。6色のレインボーカラーをベースに、それらを組み合わせて全部で360パターンのパッケージを作りました。自社工場で、一つの商品を360パターンのパッケージデザインで製造したことは、チェリオにとって新たな挑戦でした。もう一つは、社内にお互いのことを理解しようとする雰囲気ができたことです。社内で実施したLGBTやTRPに関する研修と講演を通じて、まず「相手のことを知る・理解する」重要性を学んだことによるものだと思います。もちろん、この5年で、LGBTに対する理解度や認知度は飛躍的に向上していて、今まで無関心だった人にも興味を持ってもらうきっかけになっていると思います。

柿島 社内の変化ではないのですが、リクルーティングでTRPに協賛していることを話すと、関西ではTRPを知らない学生も多いのですが、けっこう皆さん、興味を示してくれます。TRPに協賛していることで、「チェリオらしさ」みたいなものを、学生さん自身が見出してくれているのでないかと感じています。

 

ーー昨年から、LGBTに関する部署研修や全社研修を社内で実施しているそうですね。

柿島 まずは昨年の夏に、チェリオ中部で実施しました。営業、製造、総務などの部署から20人ほどが参加しました。昨年9月に名古屋で開催された「虹色どまんなかパレード」に協賛するタイミングに合わせての研修で、NPO法人ASTA様にお願いしました。

座間 「チェリオという会社は、単に飲料を売っているだけではないということをチェリオの皆さんに知っていただきたいです」という講師の方の言葉が印象に残っています。私たちは社会に何を提供できるのか、改めて考えるきっかけとなりました。この研修を踏まえ、全社にも広げていこうということで、今年の1月に出雲で全社研修を行い、TRP共同代表理事の杉山文野さんに講演をしていただきました。大変好評で、「TRPに参加してみたい」という社員が一気に増えました。

柿島 講演の内容はもちろん、文野さんの情熱やパワーに圧倒されました。

 

ーー自身の業務の中で、LGBTに関して、どんな取り組みを進めていきたいですか?

柿島 TRPに協賛し、研修などを実施してきましたが、今のところLGBTであることを公表した社員はいません。そういう状況にあって、「制度を作ったので利用してください」というよりは、それぞれの人に合わせた働き方や配慮、制度を整えていくほうがよいと考えています。LGBTに限らず、障がい者や高齢者等も含めて、皆にとって快適な職場環境を整えていければと考えています。加えて、社員全員が平等に受けられる制度にしていくという視点も大切だと思っています。

座間 いろいろなバックグラウンドの人が縁あってチェリオという会社で一緒に仕事をしています。同じチェリオの仲間であることで、個人としてチームとしてのパフォーマンスが最大限に生かせるような、そんな組織や雰囲気を作っていきたいです。同時に、いろいろな人がチェリオに興味を持ち、一緒に働きたいと思うような会社にしていきたいと考えています。そうすることでチェリオが変化を創り続ける会社となっていくと思います。そしてTRPに協賛することで、チェリオはTRPと一緒に社会に変化をあたえていきたいと思っています。

 

撮影/長嶺 愛

 

●今年もやります!
《ライフガード》スペシャルパッケージ
TRP2018の会場で配るほか、今年は初めての試みとして、関西、中部、沖縄エリアの自社自動販売機にて5月・6月の2ヵ月間、数量限定で販売予定。

 

株式会社チェリオコーポレーション
[本社]大阪府高槻市
1961年設立。《ライフガード》をはじめとする清涼飲料を製造・販売する。グループ会社として「チェリオ中部」「チェリオ沖縄」がある。